2008/03/29

日本企業のSaaS

SaaSは所詮、ASPと本質的には何ら変わるものではない、と述べたが、そうは言っても世界的なトレンドとして、SaaS/ASP型のビジネスに傾倒していきつつあるのは間違いない事実であり、呼び方はともかく日本のIT企業もこれからはそういったビジネスで、国境や距離と関係なく攻勢を掛けてくる海外企業と渡り合っていかなくてはならない時代が本格的にやってきているわけで、国内のSaaS/ASP事業がどうなっているのか非常に気になるところである。
昨日、KDDIがSaaSビジネス第一弾の提供を4月25日から開始するとの報道が流れていた。どうやら、MicroSoftのグループウェアExChangeサーバの機能をインターネット経由で提供するというもののようで、パソコン上のOutlookやAuの携帯電話からメールやスケジュール、文書共有などが使えるようになるらしい。KDDIは主力商品であるAu携帯電話の価値を向上するためにも、これからもどんどんサービスを投入してくる期待が持てる。MicroSoftのサーバソフトを提供しているだけという部分で、根幹部分を海外企業に握られていることになるため、今後のサービス展開が気になるところだが、KDDIはあくまで通信事業が主体なのでいたしかたないであろう。ここは国内のITベンダ御三家に期待したいところである。
NEC
ホームページを見る限り、あまりSaaSという言葉を使っているところが見受けられない。検索してみると3月17日にSaaS型のe-ラーニングサービスを発売したとなっている。しかし、肝心のこのソフトウェアはラーニングマネジメントシステムでは米国売上No.1のサムトータル社が作成しているもので、自社開発のものでは断じてない。ソフトを提供するのがSaaSなのにそのソフトを海外製品に頼ってしまって、この先どうするというのか。ここは日立に期待しよう。
日立
関連会社の日立ソフトが、Salesforceを活用したSaaS事業を展開していて、自社内での運用実績をベースにSAPとの連携が可能なAppExchangeなどを提供していく、となっている。自社で開発したプロジェクト管理システムや旅費精算システム、会計業務システムとの連携機能などが提供されるらしいが、根幹となっているSalesforceもSAPも、どちらも国外ベンダのソフトウェアであり、海外製品に依存しているという点ではNECの立場となんら変わるものではない。日立は他にEDIをSaaS型で提供するTWX-21というサービスも提供しているようだが、利用範囲が国内のみ、しかも参加しているのは日立関連企業を中心に18社のみ(発注可能な企業)という状況でちっともグローバルな展開と言える状況ではなく、なんのためのサービスなのかが全く分からない状態である。もう最後の砦、富士通に期待するしかない。
富士通
アウトソーシングサービスのメニューにSaaSサービスというものが明確に打ち出されており、非常に期待が持てるところだが、提供されるサービスを見てみると、SaaSパートナーへのプラットフォーム提供がメインとなっている。SaaSビジネスにおいて、一番重要な部分は、どういったソフトウェア/機能を提供できるか、という点にかかっていると言っても過言では無いにもかかわらず、肝心要の部分については、SaaSパートナー、つまり他のソフトウェアベンダーにお任せするという内容である。プラットフォームを提供してもらうのはSaaSでもなんでもなく、単なるレンタルサーバというだけの事であって、ソフトウェアベンダが自前で全て用意してしまうのではなかろうか。海外の事業者だって簡単に参入してくるだろうし、それこそ国内に拠点を持つ必要すら無いのである。何がしかのアプリケーションも提供する予定のようだが、2008年1月提供予定がそのままになっている。いつ始まるのだ。。。
3社を見てきたが、どれもSaaSビジネスという点ではKDDIにすら対抗できていない状況であるのは明らかである。日本のITベンダの行く末が非常に心配になってきたことは言うまでも無い。。。。

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