2008/03/11

夕張消滅

先日、発表された人口変動で、財政再建団体として再出発を目指している夕張市の人口が前年比で600人以上減少していることが明らかとなった。財政再建の前提として、税収の増加を見込んでいるはずの再建策の前提が大きく崩れかねない事態に陥っている事が明らかとなったが、今のところ夕張市に大きな変化が見える兆しはない。それでも、個々の市職員は危機感を持っているらしく、夕張市役所を退職し新天地に活躍の場を求める人が後を立たないという状態のようである。それというのも、給料も削減され残業代もカット、しかしながら職員数の減少で業務量は逼迫するというジリ貧の状態で、しかもこの状態がいつまで続けば展望が開けるのかという未来も見えず、普通の神経ならば、このような負け犬市町村からはとっとと逃げ出すのが得策と判断する人を責めることはできない。
しかし、夕張の人口がこのまま減り続け、いつの日にか市役所の職員すら夕張市外に在住するようになり、人口ゼロの市になったとき、この行政区がいったいどういう結末を迎えるのか、そこまで想像している政治家や官僚がいったいどれほどいるのであろうか。抱えた借金の額に恐れ戦き、合併を求められても周辺の自治体は尻込みをする中、夕張市民は次々と新天地を目指して旅立ち、残されるのは生活力の無い高齢者世帯のみとなり、ひとり、またひとりと孤独死を迎えるという、この世の地獄が終わったあとに、かの地に残るのはいったいなんなのだろうか。企業を誘致しようとしても、光ケーブルはおろか、ADSLですら導入されていない土地に、しかもこれから税金がますます増加することが目に見えている土地に、いまどきどこの企業が名乗りを挙げて移転してくるというのか。201X年Y月、歴史的な日を迎えた夕張市は、最後の市民から転出届けを受理した夕張市は、日本初の住民ゼロの行政区という偉業を達成する・・・・・
この恐るべき未来を回避する手段はわずかしかない。なんらかの新産業を育成し、産業を振興するという策も、サイコロを10回振って1が10回出る可能性くらいには、期待できる策であろう。しかしながら、普通に考えればほとんど成功の可能性がない、未来に向かって夢も希望もない策である。ここに私は提言する。炭鉱の町の遺産である、坑道を有効活用するのだ。
今、日本は空前の原油高にあえぐ、エネルギー欠乏国家となりつつある。この国を救うのは、無限の可能性を持つ原子力しかないのは明白である。しかしながら、原子力政策には核廃棄物をどこに放棄するのか、という問題が付きまとい、思うままには原子力への依存度を高められない現状が続いている。ここで、夕張が炭鉱跡の坑道を利用した、核廃棄物の受け入れを表明するのだ。無意味に放置されている坑道を核廃棄物の処理場として有効活用することで、廃棄先を求める原子力業界はわざわざ廃棄のための掘削という無駄な労力から解放され、夕張市側はいつ崩落し陥没するかもしれない坑道の恐怖から免れることが出来るのである。いまこそ夕張は勇気を振り絞り、未来に向かって原子の力を受け入れる時であろう。

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