2008/03/23

原子力は環境にいいのか

地球の温暖化に関連して、原子力エネルギーの利用が不可欠であるとする意見が、国の原子力委員会から報告されているようである。要は、地球の温暖化の原因とされる二酸化炭素を排出しない、原子力エネルギーは地球の環境を考えた場合、非常にクリーンなエネルギーであり、その利用促進のために次世代軽水炉や高速炉技術の研究開発を強化、推進すべしというのが報告の趣旨となっているようである。
しかし、原子力エネルギーは本当にクリーンなエネルギーなのだろうか。二酸化炭素の排出という観点だけから見ても、原子力エネルギーが勝っているのは火力発電に対してのみであり、風力発電や水力発電、地熱発電と比較しても同等である。それに対して、地球の温暖化そのものである熱エネルギーの発生という観点でみると、原子力エネルギーは、本来はどこにも存在しない熱エネルギーを核物質から無理矢理取り出して、電気などのエネルギーに変換する仕組みであるため、熱エネルギーの発生という視点で見ると地球温暖化に大いに寄与していることになる。それに対して、風力発電や水力発電は、もともとそこに存在しているエネルギーを電気として取り出しているだけであり、新たにエネルギーを生成しているわけではない。
もっとも、本来は熱エネルギーではない状態で存在しているものを、最終的には熱という形で大気中に放出するわけであるから、風力発電にせよ水力発電にせよ、多少なりとも温暖化に寄与している可能性は考えられるが、無から熱を取り出している原子力の影響とは比べるべくもないのは明らかである。さらに言えば、太陽光発電は、熱エネルギーの形で地球に降り注ぐ太陽エネルギーを、一旦電気に変換したあとで、最終的に熱エネルギーとして放出しているだけなので、地球の温暖化への寄与はプラスマイナスゼロ、ということになる。これらのことから考えると、実は原子力エネルギーは地球環境に配慮するどころか、温暖化を加速させうる問題児であることが分かるだろう。原子力関連企業からリベートを貰っている、今の政府では所詮無理な話だとは思うが、ぜひとも政府首脳陣には、嘘で塗り固められた原子力委員会の報告に惑わされることなく、正しい温暖化対策に邁進してもらいたいものである。


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