もっとも、IT業界の巨人であるマイクロソフトに取れば、14億ドルの追加出資はそれほど大きな負担になることは無いと思われるが、より大きな問題と捉えたのはYahooの買収を強行した場合に予想される人材の流出ではないか、と言う声もある。マイクロソフトがYahooを買収する目的は、検索ポータルという機能を傘下に納めるだけではなく、Yahooが抱える優秀な技術者を引き込むことで検索最大手のGoogleに対抗することにあろうが、強行に買収を進めた結果、残るのが経営陣とポータルサイトだけ、という状態になってしまっては元も子もない、ということだろう。その優秀は人材が万が一、Googleに吸収されてしまうような事態になればそれこそ目も当てられない。
しかし、この買収劇で一番、得をしたのは他でもないGoogleであろう。MicroSoftとYahooという、業界2番手3番手の企業が買収協議を進めている間に、着々とビジネスの基盤を整備し新しいサービスを投入しては、更なる顧客層の拡大を図ることに時間を費やせたのだ。しかも、MS/Yahooの買収合戦を嫌気した顧客が選択肢としてGoogleを選ぶ効果も期待できるとなれば、まさに漁夫の利を得たと言っても過言ではないだろう。
検索市場で5割を超えるGoogleに対抗するため、MicroSoftとの統合は最善の策であったにも関わらず、自らの存続を図りたいがために無理な買収価格の吊り上げに終始したYahooは、これからどういった策でGoogleに対抗していくつもりなのであろうか。買収に応じた方が最終的な利益となったのではないか、と今後、経営状況が悪くなった場合に株主から指摘された場合どのように応酬するのか、Yahooという業界2番手の検索ポータルとの統合に失敗したMicroSoftが次にどのような戦略を打ち出してくるのか、今後の動向が非常に気になるところである。
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