2008/05/06

文化庁は現実を見ろ

iPodやHDDレコーダーに対して、「著作権料」の一種を課金する制度改正の骨子案を文化庁がまとめ、5月8日の文化審議会に提案する事が判明した。これは、一気に浸透した携帯音楽プレーヤーなどに対して、販売する時点で価格の中に「私的録音録画保証金」なるものを積み増すというものだ。なんでも2005年から審議を続けてきたものの、ようやく制度化するための骨子案をまとめるに至ったと言う事で、技術の革新と比較すると省庁の動きがなんと緩慢な事かと呆れてしまう。
しかし、この骨子案では、メーカー側に配慮して、iPodやHDDレコーダーなど通常の録音・録画機器については、課金の対象としているものの、パソコンなど汎用性が高いものについては、対象外とすることになっている。著作権法では、音楽やテレビ番組などについて、私的使用を目的とした家庭内での複製は認めているが、デジタルでの録画・録音機器については、高品質の録音録画や複製が可能で、著作権者の利益を損なうおそれがあるとして、私的複製をする利用者が「補償金」を支払うこととなっており、その対象をiPodやHDDレコーダーに拡大するというものだ。

なんと現実を見ない議論なのであろうか。要は、一度録音・録画したものが家庭内での私的利用を超えて複数の人間で共有されてしまう恐れがあるということから、補償金を支払うという事だが、どこの世界にiPodやHDDレコーダーで録音・録画したものを何人かで共有したり不正に流通させたりするような手間を掛ける人間がいるというのだろうか。それこそ汎用性の高いパソコンなどを利用して一気に複製を作成し、共有したり流通させたりする方がよほど手間もかからず、大規模に行う事ができるというものだ。にも関わらず、iPodやHDDレコーダーには課金するが、パソコンなどには課金しないという、まるで現実と掛け離れた骨子案にははっきり言って幻滅してしまった。
もしかして、文化庁の役人どもはパソコンを使いこなすスキルが不足していて、パソコン上で複製するよりもデジタル機器で複製するほうが手間もかからず便利だと思っているのだろうか。まあ、所詮は官僚が骨子案をまとめているのだから、結論がこのようになってしまっても仕方がないか。。。

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