2008/09/21

次期政権を点検しよう

次の総選挙で、与野党が逆転し、ついに民主党の政権に変わることが期待されているが、それでは民主党が政権を奪取した場合、日本がどう変わる可能性があるのかを考えてみたい。もちろん、自民党が勝つ可能性も60%くらい、互角以上にはあるというのが私に見立てだが、自民党が政権の座に居座り続けたところで、これまでの政治から何ら変わるところは無いだけに、特に点検の必要性を見出せない。労働者が権力者に搾取され、弱者はいつまで経っても苦しい生活を強いられる、そういう社会であることになんら変化が無いのは自明の理である。
民主党になった時に何が変わるのか、色々と論点はあるが、とりあえず道路特定財源をどうするつもりなのか、という点だけ考えてみたい。北朝鮮の問題をどうするのか、年金の問題をどうするのか、金融不安をどうするのか、安全面も含めた食料問題をどうするのか、等々問題が山積しているのは事実だが、だれが政権を担当したとしても、一足飛びに解決できてしまうような問題では無いだけに、どう変わるのかと考えるにはあまり妥当ではないと思われる。千里の道も一歩から、というくらいの課題だが、問題はその一歩を踏み出せるかどうかであり、自民党が踏み出さないことだけは既に分かっている。民主党が踏み出すかどうか、それは担当させてみなければ分からない。願わくば一歩と言わず二歩、三歩と踏み出してくれることを期待したいところだが。
さて、道路特定財源に対する民主党の主張を大きくまとめると、以下のとおりである。
・道路特定財源の制度を廃止
・暫定税率を廃止
・廃止に伴う地方の税収減は地方が負担する上納金制度を廃止することで補填
・大都市と地方の負担格差を縮小
・無駄な道路と建設コストの無駄をなくす
・減税効果による経済の活性化

なんとも立派なお題目ではあるが、それぞれ考えてみよう。まず、制度の廃止と暫定税率の廃止はよしとしよう。それに伴い、地方の税収が約9000億円、減少してくるのは当然だが、それを地方が国の直轄事業に対する負担金として拠出している費用を減免することで、相殺しようというのが、3番目の項目である。この負担金は約1兆円が地方から拠出されていることから、相殺することについて、金額としてはなんら問題は無い。問題なのは地方ではなく、国の税収の方である。
暫定税率を廃止した場合、税収は国と地方あわせて2.6兆円の減収となる。この全てを国庫が負担すると、そう述べているのであるが、それをどうやって負担するのかが、5番の無駄な道路と建設コストの無駄をなくす、という主張に繋がってくる。つまり、税収は減少するが、その分は無駄な道路を作ることをやめることで削減する、と言っているのである。ここに矛盾がある。減収が見込まれる2.6兆円を道路建設を削減することで行うといいつつ、そのうちの9000億円は地方が道路を作るための費用として、拠出すると3番の主張で述べているのだ。つまり、道路建設を削減すると言いつつ、地方には道路を作るためのお金を渡してしまい、結果として2.6兆円の減収全てを国が負担しなくてはならないことになる。暫定税率分として国に納められていた1.7兆円、この分の道路建設を中止するだけでは不足であり、地方に回してしまった9000億円分を何らかの形で削減していかなくてはならないのだ。その分をどこで賄うのかは、民主党の今の主張では明確には示されていない。
さらに大都市と地方の負担格差の縮小を、暫定税率を廃止することで縮小するとしているが、その前提として地方は公共交通機関が整備されていないため、車が生活必需品であることを認めている。しかし、車が生活必需品であるというなら、それを使用するための道路の整備もまた、必要となってくるはずで、道路建設を削減するという主張とは矛盾しているが、その点についても触れられている箇所はないようである。もしや、それが地方に対して供与する9000億円の使途となることを想定していると言うのだろうか。それではあまりにも地方を信用しすぎであり、道路建設の無駄を削減することなど到底、なし得ないであろう。本気で道路改革を推し進めるのであれば、地方の予算の使い方も含めて、そのあり方を管理・監督しなければ長年、甘い汁を吸い続けてきた政官業の癒着構造を断ち切ることなど出来ないだろう。民主党にはもっと、独創的な政策の立案を求めたい。

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