2008/09/20

中国は有望市場ではなくなった

来年の5月から、中国が、海外から中国に対して製品を輸出する際に、その製品の情報を中国政府に開示するように求める制度を導入する予定であることが分かった。これは、デジタル家電などの内部に組み込まれているプログラムや、暗号技術ソフトのソースコードを開示させる事を想定しており、その目的は中国側の説明によれば、ソフトの欠陥を狙ったコンピューターウイルスや、コンピューターへの不正侵入を防ぐためである、としている。この制度に対し、日米欧から強い非難が出ており、今後、撤回を強く求めていくものと思われる。
これは、中国当局による明らかな知的財産権の侵害であり、到底認められるものではない。中国側の言い分では、自国でのセキュリティ事故を防止するためだと称しているが、これらの秘密情報が中国企業に渡されないという保障はなく、容易にコピー品を製造したり、技術的な不足を埋めることに使われる可能性は非常に高い。日米欧のメーカーが一生懸命開発し、商品化した財産を、苦も無く手にし自らの製品として販売する可能性があるのだ。
それだけではない。暗号化技術などの詳細情報が中国当局に知られた結果、逆に日米欧の機関に対する攻撃手段の究明を目的として使用されることが予想される。中国の諸外国における諜報活動に利用された場合、重要な機密情報を容易に入手されてしまうなど、ことはビジネス取引にとどまらず、国防の観点からも重大な影響が懸念される。中国当局が入手した情報を、同じ中国の他の部門で利用しないなどと誰が信用できるというのだろうか。
これまで、中国は有望な市場として世界から注目されてきたが、こんな一方的な制度を設ける国家が、果たして有望な市場だと言えるのだろうか。今後、中国に対して製品を輸出している企業が、どのような対策をとっていくのか、あるいは何ら対策をとらずに中国政府を信用して製品情報を開示するのか、非常に動向が気になるところである。私なら、中国市場など早々と見限って、次の成長市場を探すほうにシフトするがね。

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