2005/02/15

個人金融投資のススメ?得をするのは

最近、と言ってもこの2、3年の事だが、次のような論調の記事や書籍が増えてきたように思う。
「日本という国は破産寸前だ。いざとなれば国家はなりふり構わず個人が保有する金融資産を徴収し借金の返済に充て始める。だから今、資産を現金や預貯金で保有するのは危険だ。国内外の金融商品に投資してリスク分散を図りなさい」と。果たしてこれは真に一般市民の為を思った意見なのだろうか。
確かに、今のままの預貯金は史上例の無いくらい低金利に推移しており、このまま何年お金を預けていようが増える見込みなど全くない。それならば、配当金も手に入る株でも買ってみよう、そういう意見は間違いではない。ただし、それは値下がりした場合のリスクを受け入れる事が出来る場合、という前提が必要となる。なぜなら元本が保証される預貯金と異なり、株式に代表される金融商品は元本保証の無い、最悪の場合ただの紙切れになる可能性もある商品だからだ。絶対にマイナスになってはいけない、なくなると今後の生活に支障の出かねない資金についてはキチンと確保する必要があるのだ。よくニュースで金融商品の営業マンに騙されて老後の蓄えを全て失った事件が取り沙汰されるが、これとて話は同じで、冷たい言い方をすると、そういう分別を持たないままに投資を始めた場合の失敗例と言えよう。専門家では無い以上、投資は余剰資金の範囲内で行うべきである。
それではなぜ、巷に溢れかえる情報は、少年マンガ誌に至るまで、株式などへの投資を奨励しているのだろうか。大胆な仮説だが、この流れの裏には日本国民が持っていると言われる莫大な個人資産を証券市場に取り込もうとする力が働いているのではないだろうか。バブル崩壊後の株価低迷により発生したままの巨大な含み損の穴埋めとして、である。
そもそも株価というものは、買う人と売る人のバランスで成り立っている。買う人が多ければ価格は上昇し、売る人が多ければ下落する仕組みだ。今、日本の平均株価は1万1千円くらいで推移している。これはこのぐらいで買いたい人と売りたい人がバランスしているからだ。ここに新たに資金を持った"にわか"個人投資かが加わるとどうなるかは説明せずとも明白である。
新たな投資家の参入により、平均株価は上昇し、株価低迷により発生していた含み損は解消される。その恩恵を受けるのは機関投資家、ひいては不良債権の処理に苦しむ銀行と活性化した市場から高額な手数料を得られる証券業界、そして株式の売却益で増収が見込まれる所得税を手に入れる政府となる。実体経済とは関係ないところで上昇した株価は、お祭りが終わりと共に元の水準まで下落し、気づいた時には虎の子の個人資産を吸い取られている・・・・どうだろうか。既に様々な情報で国民は預金封鎖という前代未聞の荒技に怯え始めている。ここで有力政治家なりが、仄めかすだけで、このシナリオは完成である。株価が高騰したところで、やはり国民の個人資産を保全する義務云々と述べればよいのだ。
では、巷で言われているように、政府による預金封鎖などが現実のものとなったとしたらどうだろうか。日本は独裁国家ではないので、もしも政策を実行するとなれば、政権を野党に奪われる点も含めて政府内の意見を纏めなくてはならないが、自分の政治生命を失いかねない政策になど、誰が賛成するのだろうか。官僚には実現可能でも、選挙で選ばれなければならない政治家には実施不可能な政策と言える。いかに日本国民が喉元過ぎれば熱さ忘れる民族でも、これは度を超すと言うものである。もしもこのような政策を実行されても、やはり自民党にしか投票できないようなら、こんな自立心に欠ける民族は滅びた方がよい。

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