2008/11/01

0.2%で変わるのか

欧米の中央銀行が軒並み公定歩合を下げたのに同調して、日本でも0.5%としていた利率を0.2%下げ、0.3%に変更する決定が、日銀の会合で決定された。それを見て、市場がどう判断したかは見ての通り、株価は下がる、円は上がるという、少しばかり改善していた景気悪化の道筋を再燃させるかのような動きに戻ってしまった。
市場関係者は、0.25%の金利下落があると言う見込みで動いていたところに、予想よりも下落が少なかったことで落胆が広がり、結果として株価の下落と、海外と比較して金利の低下が少なかったことで円高傾向に振れたとしているようだが、果たしてそうなのか。株価はどのような景気対策が出てくるか、金融政策はどう変わるのかを見極めていただけで、結局のところどのような決定をしたとしても、違いはなかったのではないか。そもそも、日本の金利は欧米に比べて非常に低く抑えられている状況で、金利だけが円高の原因とは到底考えにくく、いまも日本で借り入れたお金を欧米の投資家が返済していることで円高に振れていると推定されることに、なんら変化はないのだろう。
それよりも、物価の明らかな上昇傾向が見て取れる中、政策判断として金利の低下を決定したということは、国民の生活を楽にすると言いつつ、向いている先は企業と市場だけということを改めて示したということだ。金利が下がればローン金利も安くなり、住宅を購入しやすくなると言うが、結局は不動産業界の収益を改善することが目的であり、その他の業界にしても銀行への利息負担を軽減し、経営へのダメージを少しでも減少させることが目的なのは明らかである。一般市民が公定歩合が低下することで受けるメリットは非常に少なく、預金金利の低下で被る損害の方が遥かに巨大なものとなっているのだ。
さらに、麻生総理が3年後を目処に消費税率のアップを明言したことで、今後の増税に向けた議論が活発化することは間違いなく、これから税金が上がることが目に見えている中、誰が好んで消費を増やそうという気持ちになるというのだろうか。このままでは、日本国内の景気はますます庶民にとってだけ厳しいものとなり、やがては1億総中流と言われた時代は過去のものとなって、一億総下流という貧民国家が誕生してしまうのではなかろうか。まあ、それを選んだのも国民で、これから先、これを受け入れて苦しむのも他でもない日本国民であるから、仕方の無いことかもしれないが。。。

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