2009/07/18

選挙権を平等にしよう!

選挙区によって一票の価値に差があるというのは、国政選挙の都度、なぜか投票が終わってから取り上げられる話題だが、そんないわゆる一票の格差を是正していこう、という団体があることを初めて知った。その名は『「一人一票を実現しよう!」準備会
いわゆる、人権を考える団体というのは、だいたいが「こんなことは許せない」「もっとこんな改善をしてほしい」という声をあげるだけで、一般市民にできる活動を推進しているところは殆どなく、市民の草の根レベルで意識を変えようとか、お互いに助け合うという発想が多い中、この団体の発想は、衆議院選挙で一票の格差を是正する方向に持っていこう、という斬新なものなのだ。
衆議院選挙で、格差を是正すると言っている候補者に投票しよう、というのが、どこが斬新だと言うなかれ。誰も、この候補者が是正してくれそうだ、と言って投票を推奨するとか、そういう事を言っているのではない。一票に格差が存在するのを漸減的な手法で以って、憲法違反である状態に変えていくというものだ。
それは、衆議院選挙と併せて実施される、最高裁の裁判官に対する信任/不信任の投票を、格差是正に積極的でない、あるいは格差を容認する、合憲/有効派の裁判官を排除することに利用し、結果として最終的に、格差がある状態を違憲であるとして、司法の側から是正を求めるように変えていくという、少し遠回りかもしれないが、これまであまり着目されていなかった方法だ。
確かに、国会で一票の格差が取り上げられるにも関わらず、一向に是正されないのは、最高裁の判決で5倍までの格差は違憲ではない、などという信じられないような判断が示されていることに根拠を得ており、この判決が大きく覆されることになれば、格差を是正するための動きが具体化する方向に変わる可能性があるのだ。これまで、適当に不信任か信任かを適当に投票してきたが、どういう考え方なのかという漠然とした基準ではなく、この1点にだけ絞れば、誰を信任するか、不信任とするかは、選びやすくなるというものだろう。
ちなみに、この会で指摘されていた、合憲・有効派裁判官は那須裁判官と涌井裁判官、彼ら2人に不信任を突きつけて一票の格差を実現しようと訴えていた。この活動は、選挙の時に併せて実施されているだけの、裁判官の認否についてだけ訴えているものなので、当然ながら公職選挙法で禁じられているインターネット上の選挙活動にも該当しない。なぜって彼らは政治家ではなく、裁判官という公務員なんだから。。。。たぶん。
件の会では、この2名に不信任の投票をしよう、と言いたげなアンケートを行っていた。私の住む地域の一票の価値は、衆院:0.51票、参院:0.24票。ああ、なんと低いんだ。実際に数字で見せられると腹が立ってきた。子供の頃から一票の格差なんて選挙の度に話題にのぼっていたのに、具体的に改善するための手段が目の前に転がっていたことに今まで気付かなかったなんて、変わらない社会に対するのと同じくらい、自分の馬鹿さ加減にも腹が立ってきた。今度の選挙ではよくよく考えてから投票するようにしよう!
参考資料:
 衆議院の一票の格差
 参議院の一票の格差

2 件のコメント:

  1. 一票の格差の概念を数値だけで論ずると地域格差少数人口圏の権利は無視される事になります。その為に5倍までという弛みを持たせて均等を図っているのです。都会だけで日本社会は成り立っている訳ではありません。日本全国僻地寒村に至るまで日本社会なのです。その辺の事を少し考慮願えればと思います。

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  2. でも、だからと言って、都会の人の正当な権利を阻害していいわけではない、というのが難しいところです。都会の人の大半は地方から出てきている人なのだから、平等にしたからと言って、地方が無視される、なんて事はないと思いたい。

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