2006/05/11

米国産牛肉の抜き打ち検査

日米間の懸案事項のひとつとなっている牛肉輸入問題で、再開に向けた対策のひとつとして、日本への輸出向けに加工している工場に対して抜き打ちでの検査を実施する提案が日本から出されたらしく、米国側も受け入れる見通しであるとの報道があった。抜き打ち検査を行わなければならないほど、安全性を懸念しなければならないのも考え物だが、抜き打ち検査で問題無い事が確認されるのであれば、消費者としては歓迎すべき対応と言えるだろう。しかし問題は、抜き打ち検査を果たして本当に実施できるのか、という点であろう。
もちろん、輸入再開を急ぎたいアメリカは、今は抜き打ち検査の実施に同意するだろうが、いざ輸入が再開された後で抜き打ち検査に臨んだとき、難色を示さないと言う保証は何もなく、外交的に弱腰の日本政府が検査を強行できるかは甚だ疑問と言える。問題はそれだけに止まらない。
実際に抜き打ち検査を行った結果、問題のある加工牛が見つかった場合、どのような対応をとるのか、である。日本向けの輸出に際して行わなければならないのは危険部位の除去であり、その処置が正しく行われているかどうかが判断ポイントとなるのだが、仮に危険部位が除去されていない牛肉が発見されたとして、それは日本向け以外への出荷用だ、これから除去作業を行うところだ、などと弁明された場合、それでも約束違反だとして輸入を再度停止できるのだろうか。中韓との国交がこれほどまで険悪になっている今、日本にとって唯一の同盟国であるアメリカに対して、そのような対応を取れる訳はなく、なし崩しに輸入条件の緩和を認めるところに追い込まれるのは火を見るより明らかである。やはり前回の輸入再開時と同様に、税関での水際チェックに賭けるしかないのだろうか。米国産牛肉なんか食べないゾ!

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