2006/05/11

減らない自殺者

警察庁による05年度の自殺者数はまだ発表されていないが、厚労省が昨年11月までの統計をまとめた結果、前年同月比で400人ほど多い28000人となっており、警察庁の統計で年間での自殺者は8年連続して30000人を超える事が確実となった。厚労省が定める自殺の認定基準は警察庁よりも厳しいため、警察庁が自殺者とした人が自殺と認めらんない事が往々にしてあり、結果的に厚労省発表の数値の方が少なくなるらしいのだが、自殺と認めたくない理由でもあるのだろうか。
それはさておき、景気が回復しているにもかかわらず自殺者が増加していることを、格差の拡大と結び付ける意見が出ているようだが、果たして本当にそうなのだろうか。自殺に至る原因を詳細に調査もしないで、世間で話題になっている格差社会の到来と結び付けるのはあまりにも短絡に過ぎると言わざるを得ず、それでは格差がより激しいアメリカでそれほど自殺が話題に上らない理由が説明できない。
私が思うに、このところ自殺者数が増加しているのは、単純に日本国民が精神的に疲弊していることの表れなのだ。日本国民は諸外国からは、やれ基地の移転費用を負担しろ、やれ狂牛病は気にせず牛肉を輸入しろ、やれガス田に口を出すな、やれ竹島の領有権を放棄しろなどと日々切迫感にさらされているにも関わらず、政府はきちんとした対応を取らず説明責任も放棄したかのようである。そればかりか更なる負担を国民に押し付けようと、増税と控除の削減をセットで推し進め、その一方で無駄な投資はますます促進し、国民の将来への不安を助長している。こんな中で自殺者が増えるのは当然で、減る方がどうかしているというものだろう。
だが、このような状況に対して、政府はなんの対策も取る気は無い。なぜなら、自殺していくのは、基本的には社会的弱者であり、大した税金を納めている訳でもなく、国としてのコストで考えれば赤字になってしまう人間が、何人死のうがどうでもいい、はっきり言えば人減らしをしたい彼等からすれば死んでくれた方がありがたい、くらいにしか思っていないからだ。生きていれば生活保護を申請される可能性のある人間をできる限り削減したい。それが日本と言う国の本音なのだろう。

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