2006/04/18

不祥事から注意を逸らせ

政治家の不祥事が続いた後は、何か大きな事件が起きて、国民の関心をそちらに向けて、気がつけば不祥事の処理はうやむやのまま終わっている、と言うのが日本の政治の常套手段だったのだが、最近は色々と手が込んできたようで、マンションの耐震偽装があったかと思えば、偽メールを掴ませて野党第一党の信頼を失墜させ、自衛隊やら警察やらからの情報流出に気をとられていると、高速フェリーと鯨が衝突するわ、東京湾で貨物船が沈没するわ、挙げ句の果てに千葉で製油所が爆発ときた。国民の関心を他に向けさせるのも楽じゃない。
まさに役所が決算前に余った予算で大盤振る舞いしているかと思うくらいのオンパレードだが、最後にとっておきの隠し玉が用意してあった。消費者金融大手のアイフルに対する業務停止命令が出されたのだ。理由は違法な取り立て行為が確認されたため、だそうで、取り立てを迫る脅迫紛いの電話が何度も報道で流されているので聞かれた方も多いと思うが、聞けば聞くほど大した内容ではない、と言うのが感想であった。こんな程度の取り立ては、消費者金融、要はサラ金と呼ばれる業界であれば多かれ少なかれどこでもやっている内容で、さして大騒ぎするような事件ではない。おおかた、アイフルはサラ金業界に対して行政が何の策も講じない、と言う批判をかわすためのスケープゴートにされたのであろう。
だが、アイフルをスケープゴートにしたと言うことは、国民の批判をかわしたいと言う思いの表れであり、これ以上の追求はされない可能性もあるので、今後の動静には注意したい。消費者金融業界は銀行の優良な貸付先となっていて、不良債権処理の原動力になっているやも知れないのだが、それを潰すことはすなわち、日本経済にダメージを与えると言うことである。そもそも、もしも本気で消費者金融を潰すのであれば、簡単な方法がある。それは無担保の融資に対する利息収入を、事業収益では無く、一時所得に計上することだ。事業収益の場合、当然ながら経費が差し引かれた後に課税されるが、一時所得とした場合、経費は一切認めず全ての収入を最高税率の課税対象とすれば、貸し金業は割に合わない商売となり、市場規模は一気に縮小するだろう。まあ、その場合はヤミ金融が幅を利かせるようになるかも知れないが・・・
もっとも、アイフルに限らず、消費者金融から借り入れをした時点で、その人は人生の落伍者と言えるのだから、あまり積極的に救済する気は起こらないのだが。

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