2012/03/05

障害者自立支援法が廃止されないのは

民主党が、政権公約で法律の廃止を掲げた障害者自立支援法だが、サービス量に応じて原則1割の利用料を負担する「応益負担」が重度の障害者ほど負担が重くなる問題があり、政権交代後に謝罪と新法制定などを記した「基本合意」を原告団と締結、和解が成立していたはずが、2月に政府が示した改正案では、法律名や理念などを改めただけの修正案を新法とし、応益負担の廃止を見送ると言う、合意内容に大きく反したものであり、到底容認できないものであるとして、全国弁護団事務局長の藤岡毅弁護士は「和解条項違反に対する法的措置も検討している」と声を荒げている。

そもそも、この法律は自民党政権時代に、障害者の自立を支援する、という名目で、障害者を補助するヘルパーの利用に対して、1割の負担を障害者本人に求める、という、重度の障害がある場合には、結果としてヘルパーに頼る割合が増加し、負担が重くなると言う、障害者を自立させる、と言うよりは、ヘルパーの収入を支援する目的で制定された法律なのだが、これに対して、そのような負担を重度の障害者が負担できるはずがないとして、法律の廃止を求めた訴訟を起こしたものである。

民主党は、生活第一、などとまやかしの喧伝を繰り返した挙句、政権を奪取しただけにとどまらず、訴訟を起こしていた原告団に対して、基本的に本法律を廃止する前提で、和解をしたはずなのだが、ここにきて名目を変えただけの改正案を国会に提出し、これまでと変わらずに障害者から搾取を続け、ヘルパーという雇用の場を国の費用負担ゼロ生み出すことを選択したわけで、まさしく約束を反故にしたと言わざるを得ないであろう。

これでまた、民主党政権が弱者切り捨て、既得権益保護、上流階級偏重の政治姿勢であることが明らかとなった訳で、いい加減にこの政権に何かを期待するのはやめるべきだと思うのは私だけではないだろう。法的措置も検討、などと悠長な事を言っている間に、法律は成立し、施行されてしまうだろうから、とっとと和解条項違反で訴えを起こすべきであろう。もっとも、私個人の考えとしては、民主党や自民党政権と同じく、なぜ便宜を図ってやらなければならないのか、という思いもある。なにしろ、今日明日にも、自分の暮らしすらどうなるか分からないのだ。他人を思い遣るのは、まず、自分の生活がしっかりとした基盤の上に立ってから、というものだろう。こんな気持ちになってしまうのも、自民党や民主党、それに官僚どもに搾取されて、生活が困窮する状況に追い詰められているからに他ならない。

あぁ、こうやって、本来は助け合わなければならない、低所得層間の精神的なつながりを分断するという、この国の根本的な弱者締め付け政策が功を奏していくのだろうか。泣きたくなる。

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