2012/02/10

それが楽観論だと言われるのだ

東京大地震研究所教授が先日発表した、南関東でマグニチュード7級の地震が今後4年以内に70%の確率で発生する可能性があるとする予測について、国の地震調査委員会は「予測の精度が低い」として、これまで採用してきた、「今後30年以内の発生確率は70%」とする予測は変更しない、との見解を発表した。

最近、福島第一の原発事故に関連して、政治家や官僚の間に根拠のない楽観論が広がりつつあると言う。既に危機は脱したのであるから、もうこんな事故が起こることはないだろう、原発の事故が続けて起こる事などない、というものだ。これに対して、内閣官房参与として事故対策にあたっていた、多摩大学教授の田坂氏は、原発の事故が最悪の事態を免れたのは、幸運だっただけだとして、楽観論の広がりを懸念している。なにしろ、最悪の事態で想定されていた、再度の水素爆発が発生することもなく、余震によって建物が崩壊することもなく、同程度の津波が押し寄せることもなかったのは、たまたま、そういう事象が起きなかったというだけの、本当に幸運であったと言うべき状況でしかないからだ。

これと地震の発生確率を低く据え置くというのは、同じところに根ざす楽観論でしかない。30年以内に起きる地震は、まだしばらくは起きないだろう、70%の確率で発生するということは、30%は起きない可能性があるということだ、だから地震は起きないのではないか、そういう楽観論のことだ。災害は発生した時には、何の準備もしていなければ、対応することもできず、それから対策をうっても後の祭りというもので、楽観論は厳に慎むべきものなのだ。昨年3月に、大地震を経験したばかりだというのに、喉元過ぎれば熱さ忘れるとは言うが、楽観的にもほどがあるのではないか。日本を導くべき政治家や官僚がこんな体たらくでは、日本は本当に終わってしまうかもしれない。


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