2005/04/28

サイバー事故か本当の事故か

先週末から2、3日の間に、故意か偶然か、はたまた必然なのかは定かでないが、テロリストも真っ青な、分野も異なる事件が立て続けに発生した。言うまでもなく、トレンドマイクロのウイルス対策ソフトによるインターネットサービスの停止と、JR福知山線における脱線事故の話である。
今のところ、どちらも原因は人為的なミスであると思われるが、IT/交通の違いこそあれ、社会インフラにおける事故だけに、世間に与えるインパクトは相当なものがあるだろう。事実、マスコミ各社や監督省庁、企業ユーザーはこぞって非難の声を上げているが、鉄道事故に関しては、鉄道会社や運転士を一方的に責めることもできないのでは無いだろうか。
確かに何十人と言う犠牲者を出した責任は追求されて然るべきであるし、被害に遭われた方々への補償も十二分に行う義務からは逃れ得ないのだが、このような事故が発生した背景には、日本人の1分1秒を惜しむ、せっかちな気質が影響してはいないだろうか。
新聞各社に掲載されたJRに関する情報の中に、列車の運行に関連して、運転士にダイヤ通りの運行義務を強制するというものがあり、これが先の駅で発生した遅延を取り戻すための速度超過に繋がったのではないか、と言われている。確かに定刻どおりの運行を義務づけられれば、いざ遅延を発生させた場合にプレッシャーとして襲いかかってくるのは明白で、運用の問題点として上げられるべきだが、根本的な問題は日本人が先ほど述べたような気質を発揮し、1分1秒の遅れに目くじらをたてることが、このような運用方針を導いたとも言えるのではないだろうか。これは決してJRの責任を軽減するものではないが、何事にも急かしがちな日本人の生き方を考え直す時期ではないか。そうでも思わなければこの事故があまりに無意味に終わってしまうではないか。

0 件のコメント:

コメントを投稿