原発の放射能レベルが上昇し、作業員が全員退避せざるを得ず、冷却機能の回復が行えず、核燃料が再臨界に達した場合の、いわゆる最悪の事態を想定したシナリオが、事故直後に検討されていたにも関わらず、その存在自体、これまで全く報道もされていないし、公文書としても扱われていなかった、つまり、国民の目に触れさせるつもりがなかったという訳だ。このシナリオでは、半径170km圏内を強制退避区域、250km圏内を任意での避難区域とする必要があるとされており、そのエリアはおおよそ原発を中心に茨城空港や小山市までが強制退避し、横浜あたりまでが任意での避難対象となるくらいの、日本はもうお終いなのではないかというほどの想定がされていたようだ。
当時、これを公表しなかったのは、パニックを回避するためだと説明できるかもしれないが、今後も含めて公文書に指定せず、検証すら行わない、というのは論外である。明らかな国民に対する情報操作・隠蔽であり、今後の原発行政をどうするのかを左右しかねない重大事と言えよう。これを受けてもなお、原発は必要だから、仕方ないから、というのであれば、このような事態が起きないことをどうやって担保するのか、それを技術的に示してからにするべきであろう。単純に「日本の原発は安全です」などと言われて、はいそうですかと信用するような人間は、もはやこの国にはいない。
これまで原発を推進してきた自民党も公明党も、現政権で第一義に責任を負うべき民主党も、官僚の天下り先確保、族議員の既得権益維持など早々に切り捨て、総意で以って経済・産業を含めた構造改革を断行してもらいたいものである。
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