2006/03/15

PSEは何をもたらすか

このところ、五年以上前の家電製品を中古販売できなくなる、PSE法というものが世間を騒がせている。まあ、本気で騒いでいるのは中古品販売業者ばかりなので、永田議員の話題に飽きたマスコミが息抜きに伝えている、と言う感は拭えないのだが、事は業者だけの問題に止まらず日本全体に影響する重大事である。
五年以上前の家電製品を売買できないと言うことは、もし買い替えなどで不要となった場合には、粗大ゴミとして廃棄するしかなく、資源の有効活用や環境負荷を考えると大きなデメリットとなる。また、家計に与えるインパクトも重大で、新たに家電製品が必要となった場合には、これまでは安い中古品で済ませていたものが、新品の購入を迫られる場面が多くなろう。五年以内の新製品が中古品として出回る確率は低いし、たとえ出てもそれほどの価格メリットもなく、更に言えば中古品販売業者の大半が法律の施行に伴い廃業を余儀なくされるため、中古品を取り扱う店自体激減すると思われる為だ。
リサイクルを推進して資源を有効活用しようという時代の流れに完全に逆行するかのようなこの法律が意図するところを推察するに、家電メーカーと政府の思惑が交差し、強く働いているように感じられる。リサイクル品の普及に伴い、新製品の販売数は減少して当然と考えられるが、この法律で状況が一変するのだ。これまで新製品を選択せず、リサイクル品を利用してきた人々が、リサイクル品の売買が事実上禁止されることで新たな購買層として発生するのだ。純粋な需要増はデフレにより右肩下がりだった家電製品の価格上昇をもたらし、メーカーの利益率改善に寄与するのだ。長引くデフレ基調のもと、落ち込んだ税収を回復するために、インフレを誘導したい政府の思惑とも完全に一致する。政官財すべてにメリットのあるこの法律、覆すのはまず不可能だろう。リサイクル業者の方々には痛く同情したい。

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