2005/03/19

猫も杓子もマスクマスクマスク・・・

今年の春先は昨年の猛暑の影響で、例年の何倍もの杉花粉が飛散すると、以前から噂されてきたのだが、三月に入った辺りから飛んでいる花粉は見えないものの、周りではマスクで口元を覆っている人を例年をはるかに上回って、かなりの割合で見掛けることから推察すると、目には見えないが大量の花粉が飛んでいると思われる。
幸いな事に私は花粉による被害は今のところ受けていないので、花粉症で苦しむ方々の辛さは分からないのだが、今年の花粉が例年と比較して多いのが事実だとしても、ここ数年で花粉症の被害を受ける日本人は急激に増加してはいないだろうか。その昔、私がまだ幼かった頃は、花粉症などという言葉がマスコミで取り上げられる事など無かったし、ましてや毎朝の天気予報で花粉量が予報されるなど、想像した事すら無かったのであるが、ここまで被害が大きくなるというのは昔と比べて日本人の生活が花粉症になりやすいものに変わったという事ではないだろうか。
食習慣の変化は大きな要因と考えて差し支えないだろう。昔の日本人は魚介類など海産物を多く食していたと思うが、いつの頃からか肉食中心の生活に移り変わり、生活スタイルも欧米人のそれと近づいている。都会の生活パターンが昼型から夜型に変わりつつあるのも影響はあるだろう。しかし、一番影響が大きいと思われるのは、最近の過剰とも言える抗菌素材の氾濫である。台所、洗面所、トイレと言った水回りに始まり、食器、床、テーブル、衣類、果ては空気清浄機の噴き出す空気に至るまで、あらゆる部分が抗菌製品で溢れており、それこそ雑菌の入る隙もない状態である。おかげさまで、昔はよく見掛けた鼻を垂らした子供は、今や街中で辺りを見回しても、ついぞ出会った覚えがない。
雑菌と言うのは病気の元であり、防止する為に抗菌製品を使用するのだが、本来であれば雑菌と接触することで鍛えられる免疫力は、思いとは裏腹に高められる事はない。花粉症と言うのは、本来反応しなくとも問題ない花粉に対して、過剰に免疫が機能することで発生するのだが、昨今の日本人に備わった、雑菌と戦った経験に乏しい免疫力は、花粉を戦うべき相手と誤認して、無駄な戦いを繰り返し、花粉症を引き起こしているのだろう。
日本には古来から梅雨という季節があるが、湿気が高く食物が傷みやすい時期でもある。ここでも免疫は鍛えられてきたのだが、徹底した商品管理により、一般市民が腐ったものを口にする機会はほぼゼロになったと考えてもいいだろう。これも上記と同じ理由で、花粉症が増加している原因である。何事もやり過ぎは体に毒という言葉のとおり、キレイ好きにも程がある、と言う事か。

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