2005/03/05

堤の逮捕で一件落着するのか?

昨日、コクドの元会長である堤義明氏がインサイダー取引の容疑で逮捕された。これで西武鉄道株に関連した一連の騒動について実態が明らかになる事が期待される。おそらく、騒動自体はこれでひと段落し、事態は沈静化に向かうことが期待されるが、これによって問題が全て解決する訳では決してない。解決すべき問題は多いが、そのどれも容易ではない。
まず、上場廃止となった西武鉄道株の扱いを今後どうするのか。上場していない事により株主が被る不利益は、取引が非常に困難となる点と市場からの評価が入らないため、資産価値が分かりにくいと言う点であるが、それに留まらず資産価値が相対的に下落してしまう問題もある。別の市場に上場すれば終わり、としたのではあまりに株主をバカにした話である。
今後のコクド・西武鉄道の関係をどう改善していくのかも問題で、マスコミが取り沙汰しているのは、堤氏の保有するコクド株分だけを切り出して別会社とし、それ以外の株主がコクドの実体を継承すると言う案であるが、これは堤氏個人に対する制裁であり、堤氏の資産が不法に取得された物でない以上、明らかに個人の財産権を侵害している。犯罪に対しては厳しく断罪すべきだが、その償いと保有資産の扱いは別であり、司法に便乗した財産の横取りは決して許されるべきではない。
また、根本的な問題として、これまで長きに渡り、このような状況がなぜ放置されてきたのかも究明されて然るべきであろう。コクド・西武鉄道の関係はニッポン放送・フジテレビの関係に酷似し、これは他の企業グループでも起こり得ると考えられるが、そのような状況を放置している監査法人や証券取引所の責任は重い。
だが現実は堤氏1人に責任を負わせ、マスコミも右へ習えの報道を繰り返し、愚かな民衆はそれに踊らされて堤氏1人を非難し、大局を見ようとしない。これは正に日本という国の縮図そのものと言えよう。

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