2012/05/08

個人消費が持ち直したと言うけれど

最近、消費税を上げようとする政府を支援するかのように、個人消費が持ち直しており、景気の底上げが期待されるという内容の報道が目に付くようになってきた。要するに、個人消費が上向くことで、景気もよくなり、収入もアップするから、消費税を増税しても大丈夫だという論理に持ち込もうとする、政府と財界(ここでいう財界とは、中小零細などは含まない)の思惑通りの報道がなされているように感じる。

しかし、知ってか知らずか、今日のテレビ朝日の報道ステーションで伝えられていた内容は、個人消費が持ち直しているのは、あくまでも、年金などで若者世代などよりもはるかに優遇されていて、貯蓄も収入もある、いわゆる団塊世代による消費が増えているだけだという内容で、それを以って報道では景気の浮揚が期待されるとしていたが、大きな間違いであると言えよう。

なにしろ、団塊の世代は、これまで何十年にもわたって、未来の世代(要するに、今の現役世代とか、若者世代のことだ)に負担を押し付けることで、大きな収入を得てきたわけで、そのために裕福な生活を送りながらも多額の貯蓄を手にし、さらに満額の年金を受け取れるという、現在の景気低迷状況とはかけ離れた生活を送れる状況が用意されているのである。これで、消費に使わなかったら、いったいなんのために年金が支給されて高額な給与が支払われてきたのか、ということになってしまう。

もちろん、団塊の世代とは言え、消費に使ってくれるのはありがたい話であり、当然ながら多少の景気浮揚に繋がらないというわけではないだろう。しかし、それは一時的なもので、やがてはその効果もなくなり、元通りの状態に戻ることであろう。なにしろ、これからの日本を支えるべき若者世代は、先人たちである団塊世代が積み重ねた借金の重荷を背負わされながら、さらに団塊世代に支払う年金の原資を納め続け、自分たちは贅沢をすることもできない状況に追い込まれており、そんな彼等が個人消費を増やすことは考えられないからである。本来、日本の将来を担うべき若者たちが生活に窮する状況を改善しないまま、一時的に個人消費が向上したといって、それで今の日本の景気低迷がなんとかなるなどと、本気で思っている人間はひとりもいないであろう。

このままでは、日本は本当に終わってしまう。若者が車を買わなくなったという話はよく聞くが、買わなくなったのではない。経済的な余裕がなくなり、買いたくても買えなくなっただけなのだ。明日にでも、団塊世代に対する優遇政策を見直し、等しく国民全員で、負担を分かち合うような仕組みに変えていくことが必要だろう。

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