2011/12/29

TPPはどうなった

日本がアメリカを含む9カ国で協議を進めている、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に対して、事前協議への参加を表明して以降、国内ではあまり目立った動きが見られないが、どうしたことなのか。マスコミでは消費税の増税や、八ッ場ダムの建設再開についてばかり報道されているし、政治家の口からもあまり話が聞こえてこないようだ。もしかして、いつもの日本国民の十八番である、「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」に期待して、鳴りを潜めているのであろうか。今後の日本にとっては、非常に重要な問題であるので、どういう形で交渉に臨んでいくのか、きちんと明らかにした上で協議を進めてもらいたいものである。

経済産業研究所のコラムで、TPPへの参加について、参加しないという選択肢などあり得ない、という記事が掲載されていた。まったくその通りで、このまま参加しないでおいて、いったいどうやって日本は世界と共存していくのか、という事も考えないまま、反対を続けている人々の頭を疑う。日本の産業全体から見れば、わずかな規模でしかない農業を、これまで通りの手法で保護するためだけに、TPPへの参加を見送っても、なんらメリットはなく、逆に食糧自給率が40%以下になっている現状から、食料を輸入しなくてはならないことを考えれば、農作物を輸入する観点からも、参加を進めるべきであろう。

農業を守るのは補助金など関税以外でもいいのじゃないのか、という話をすると、反対派がすぐに持ち出してくるのは、アメリカのいい様にされてしまう恐れがあるという「アメリカ脅威論・陰謀論」であるが、このコラムでも指摘されている通り、どの国もメリットばかりではなく、デメリットも甘受することを前提に交渉に参加しているのだということを理解していない発言としか思えない。コラムでは、こう指摘している。

「ベトナムやマレーシアのような発展途上国でさえ、工業製品の高関税の撤廃、国営企業やマレー系優遇策の見直しという大きな犠牲を払ってまで、TPP交渉に参加し、アメリカと堂々と交渉している。わずかな問題を懸念して、アメリカが怖いから交渉しないというアジアのリーダーを自任している国を、彼らはどのような目で見るだろうか。」

まったくその通り。これでは、アジア諸国が中国に傾倒していくのも無理はない話だ。まさしく、情けないとしか言いようがないだろう。早々に、強いリーダーシップを発揮できる政府・総理の下、交渉を進めて欲しいものだ。

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