2010/01/11

さよならオリオン

オリオンとは、ギリシャ神話にでてくるポセイドンの息子だが、ここで言いたいオリオンはその直接のオリオンではない。ましてや、NASAがスペースシャトルの後継として開発中の宇宙船でもなければ、沖縄限定の(と言いつつ、最近は内地でもよく見かける)ビールでもない。日本人なら100%知っていることが保証されている、冬の夜空に浮かぶオリオン座のことである。この、オリオン座がもうすぐ、見納めになってしまうかもしれないのだ。
もうすぐ、冬が終わって、春になったらオリオン座は太陽の裏側に回ってしまうから見えなくなるとか、そういう話ではない。オリオン座を構成している主要な星のひとつである、ベテルギウスが消滅の危機に瀕しているのだ。これは当然ながら、日本人が鯨を世界中で殺しまわった挙句、勢い余ってシーシェパードとかいう狂信者の船を沈没させたからでもなければ、人類が打ち上げた人工衛星を、破棄と称しては宇宙にゴミを撒き散らしてきたからでもない。星の寿命が尽きかけているのだ。
ベテルギウスは、地球からおよそ640光年離れた位置にある、赤色超巨星だが、このところの観測技術の向上により、その恒星表面の揺らぎ(デコボコ?)が観測されているらしく、天文学者が言うにはいつ超新星になってもおかしくないそうだ。超新星爆発を起こしても、640光年も離れているため、地球にはそれほどの影響は無いと言われているが、少なくとも満月と同じ程度の明るさで観測できるようになるらしく、昼間でも観測できるほどの明るさに見えるらしい。爆発に際して、大量の放射線が放出されるが、幸いなことに、地球の生態系に影響を及ぼすほどではなく、多少、オゾン層に影響がでるくらいだと言われている。
超新星になってしまうと、満月くらいの明るさになってしまうため、オリオン座は見えなくなる。しかし、超新星は通常は数ヶ月から1年程度でその爆発が終了するため、後には暗い中性子星とガス雲が残る程度になる。つまり、オリオン座の右肩に相当する星が見えなくなる可能性が極めて高い。右肩を失ったオリオンを、これからもオリオンと呼ぶのは決して相応しいとは言えず、新しい星座を考える必要が出てくるであろう。あぁ、早く爆発を見てみたい。

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