2006/07/04

なぜあなたは上達しない

一体なにがおもしろいのか、と思わないではないが、国民的娯楽のひとつであるゴルフ。最近の若い人はどうだか知らないが、中高年の日本人には本気で遊ぶと言う概念がないから、本来はスポーツであるはずのゴルフが誰にでもお手軽に楽しめる娯楽と扱われるようになって久しいが、巷でよく見かけるのが表題にも書いたような、楽をして上手くなる方法をトクトクと説明したゴルフ読本である。
確かに、スポーツには肉体的な能力だけではなく、野球で言えば野村監督のID野球のように、科学的な知識と状況に応じた判断力、そして相手の裏を掻く戦略が必要で、そういったものを学ぶのは全く吝かではないし、むしろ推奨したいくらいである。
しかし、しかしだ。世の中のゴルフ人口の大半を占めていると思われる中高年のおじさんたちが、なかなかゴルフの腕前が上達しないのは知識がないからでも、判断力にかけるからでもない。ただ単に練習の絶対量が不足しており、安定したスイングが出来ないから打ったボールがどこへ行くかも運任せのゴルフ遊戯から脱却できないだけなのだ。松井も宮里も、イチローも、中田英も、勉強してうまくなったのではない。積み重ねてきた練習が彼らの血となり肉となり、苦境に置かれた時に自らを支える背骨となっているのだ。百万回、振り込んできたスイングだと、揺らぐことのない自信を込めて魂を込めて振り抜けるのだ。本など読む暇があるなら、毎日スイングしろ、走り込め。自然の前で、知識が裏切られることは多いが、積み重ねたものは魂に宿る。

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