2006/02/12

プリンタのインクカートリッジが高いって?当たり前じゃないの

プリンタのインクカートリッジに関して、リサイクル品を製造・販売している会社をキャノンが訴えるという裁判の控訴審が先日、結審し、リサイクル品の製造に関しては知的所有権を侵害するなどの理由でキャノン側の勝訴を言い渡した。環境への影響が叫ばれ、大量消費は慎むべしという声が高まる中、時代に逆行するかのような判決に憤りを感じる人も多いと思う。マスコミでもそういった論調で報道がなされており、メーカー側の主張する「リサイクル品では製品の品質に問題が出る」という説明に誤魔化されてしまったという印象がある。少なくとも私が見た限りの報道では、問題の核心に触れることなく、表面的な解説で終了してしまっていた。
実は、キャノンを始めとする主要プリンタメーカーの収益、つまり利益を生み出しているのがプリンタのインクカートリッジであることは、業界の人間にとっては当たり前の事なのだが、一般的にはあまり知られていないらしく、一般の無知な民衆はプリンタメーカーは当然のごとく、プリンタ本体を販売することで利益を上げていると考えているが、実はこれは大きな間違いである。
プリンタメーカー同士の熾烈な販売合戦は、本体価格の大幅な下落を招いており、売れば売るほど赤字になっていると言っても過言ではない程で、それでもプリンタの販売から撤退しないのは、プリンタを購入した一般利用者は、印刷をするたびにインクを消費していくからだ。インクが無くなれば当然補充しなければ印刷することができないから、利用者は必ず定期的にインクを購入する。一度プリンタを購入しさえすれば、よほどの事が無い限り、数年間は利用を継続することが見込まれるため、プリンタメーカー各社は赤字覚悟でプリンタを販売し、プリンタが売れれば必然的に売り上げの伸びるインクカートリッジで利益を得ているのだ。
つまり、インクカートリッジのリサイクルが行われてしまうと、メーカー側の収益構造、いわゆるビジネスモデルが崩壊し、プリンタ販売の赤字をインクカートリッジの収益で穴埋めすることができなくなってしまうのだ。利用者は一度インクカートリッジを買えば、次からはリサイクル品を購入すればよく、利益を得るのはリサイクル業者だけになってしまう。このことを恐れたメーカーは、消費者にとっては百害あって一利なしであるにも関わらず、様々な理由をつけてリサイクル品の販売が違法な物であると結論付けるのに成功したのだ。
これで勢いを得たプリンタメーカーが次に狙うのは、自分でインクを補填できるインク補充キットの販売差し止め、あるいは一度プリンタから取り出したら二度とプリンタに挿入できないカートリッジの開発だろう。消費者の防御手段は、本体価格の安さに目が眩んで、ランニングコストの高いプリンタではなく、インクの価格まで見越して、よりよい製品を購入するくらいしか思いつかない。まあ、インクカートリッジを安く提供している良心的なメーカーがあればの話だが。。。。

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