2006/01/28

センター試験の問題に制限はあるか

今年1月21日、22日に大学入試センター試験、昔でいうところの共通一次試験が行われたが、その際の出題内容について、教科書に掲載されているのとよく似たグラフが使用され、それについての回答を行うという設問があったらしく、それについて非難の声があがっている。
報道によると、実教出版という出版社が製作している政治・経済の高校教科書に掲載されているグラフと、酷似したグラフがセンター試験の問題中で使用されたとのことなのだが、問題となっているのは、教科書に記載されたグラフに誤りがあり、国別の比較グラフにおいてアメリカとイギリスの国名が逆に記載されていたらしいのだ。つまり、教科書では間違った情報を記載してあるため、該当の教科書で学んできた受験生は、教科書どおりに回答すると不正解となってしまうとのことで、なぜ教科書に記載されているグラフと同じ内容の設問を行ったのか、とセンター側に矛先が向けられている。
ちなみに、この論調で掲載したのは毎日新聞らしいのだが(Yahoo!ニュースによれば)、何を勘違いした発言をしているのか。そもそもの問題は誤った情報を記載していた教科書にあり、センター側の設問は間違いもなく、なんら落ち度として非難される謂れはない。教科書に記載されている内容と酷似した設問とした場合に、その教科書を利用している受験生に有利になると指摘しているのだが、いまどき教科書だけで学んでいる受験生がどれだけいるというのか。だいたい、教科書に記載されていないグラフを利用した設問とした場合、そのグラフが記載された参考書を利用している受験生に有利となるが、それは問題にならないのか。教科書だけで勉強していては、回答できない問題の方がはるかに多くなるのではないだろうか。
センター試験の設問に誤りがあり、たとえばそれで特定の受験生が不利益を被るというのであれば、非難されて然るべきだが、今回の問題はどう考えても言いがかりをつけているようにしか思えず、センター試験という共通テスト制度を批判したいがための記事としか、少なくとも私には受け取れない。制度を批判するのはまったく吝かではないが、それならそれで制度自体の問題点を提起するなり、思想的な背景を説明して「べき論」を展開するなり、もう少し理性的な態度で臨んで欲しいものだ。これでは毎日新聞の名が廃る。

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