2014/02/23

東京オリンピックに向けて日本の交通は本当に大丈夫か

2020年に開催が予定されている東京オリンピックに向けて、色々と準備を進める中、東京五輪委員長である元総理・森喜朗氏の失言?迷言?に批判が集まるなど、かなりどうでもよい(いや、責任をどうする、とか、この人でいいのか、というのは別として)事に話題が集中しているように感じる。そんな事よりも、もっと心配しなければならないのは、周辺も含めた東京の交通事情である。オリンピックを開催するとなれば、今でさえ、キャパシティをオーバーしている東京近郊の交通機関や道路は、増加する利用者でパンクすること必至であろう。

現在、東京外環道を練馬から東名まで接続する工事を進めており、2020年までに間に合わせるとしている。また、第二東名の延長や神奈川に目を転じれば国道16号と246号の立体交差事業(いわゆる町田立体)など、整備が進んでおり、問題は緩和されるのかとも思われる。しかし、東京外環道が完成したとしても、玉川から用賀までの環状八号の渋滞は解消する見込みはないし、町田立体では東名に流れ込む車列の渋滞は既に顕在化しており、立体事業が完了しても渋滞が緩和できるかは未知数である。第二東名にしても、横浜から東京までの間はどうなるのか、という課題は残ったままであろう。公共交通機関にしても、東京から羽田までのキャパシティは限界に近く、JRが検討した新線の引き込みも物理的な条件から難しい。

このままでは、東京オリンピックどころの話ではなく、海外からの訪問者を制限したり、都内への流入を規制するなど、マイナス方向での施策を打つ必要が出てくる可能性がある。無駄な公共投資は当然、抑制しなくてはならないが、必要なものを削減するのは、近い将来の課題に目を瞑っているだけで、なんの解決ももたらさない。地方は道路がないから人が来ない、と声を上げては高速道路の整備だ、新幹線の新駅だと騒ぎ立てるが、渋滞も発生していないところに高速道路や新幹線を通したところで、人口や産業の流出にしか利用されないことはこれまでの実績が物語っている。そんな無駄な投資はやめて、まずは東京に重点投資を行い、発生しているロスをなくす事を優先するべきであろう。東京がスムーズに動くことで、そこで産まれた余剰が、地方に分配されることで、日本全体が活性化していく、そういうビジョンを描ける政治家の登場を期待したい。

また、キャパシティの問題とは別に、このところ、立て続けに信頼性の問題も顕在化している。東急東横線の列車衝突に伴う、長時間の運行停止があったかと思えば、先週末には京浜東北線で工事用車両に回送列車が衝突するという事故が発生しており、月曜からの通勤時間帯への影響が懸念される事態となっている。雪の影響や人為的ミスに起因しており、鉄道そのものに問題が確認されている訳ではないが、利用者にとっては信頼性の低下以外の何ものでもなく、今後の再発防止が急がれている。キャパシティの向上を急ぐ余り、こういった安全面への配慮が低下するのは論外であり、鉄道事業者においては、より一層の信頼性・安全性の向上に、取り組んでいただきたい。

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