2010/04/08

核無き世界への一歩なのか

一昨日、米国のオバマ大統領が、核兵器を持たない国に対して、核兵器を行使することはないとの表明をしたことで、世間では核兵器廃絶に向けた大きな一歩であると、讃辞を送る発言ばかりが相次いでいる。
確かに、表明をそのまま受け取れば、素晴らしい事のように聞こえるのは事実である。なにしろ、核兵器を持たない国は、米国からの核兵器による攻撃を免れるため、新たに持つことを躊躇わせる効果はあるだろう。
しかし、逆に言えば、核兵器を持たない国からすれば、核兵器による報復を恐れることなく、アメリカに対して攻撃を敢行できる事になる。そのようなリスクを負ってまで、このような表明をする事にどんな意味があると言うのか。何かしら、賞賛される以上のメリットがあると考えるのが妥当というものであろう。
例えば、日本を米国のいわゆる「核の傘」から外してしまうぞ、という外交圧力のカードとして使えるかもしれない。これまで、日本はアメリカの核の傘に守られてきたが、核以外の攻撃に対して通常戦力でしか反撃されないと分かっていれば、攻撃に踏み切るハードルは明らかに下がるだろう。それを感じたのか、さっそく岡田外務相が、アメリカとの同盟には影響しないと、フォローするかのような発言をしている。もっと踏み込んで、核を持たない国に対して核攻撃が行われても、核による報復は行わない、と言い出すかもしれない。いつまでも進展しない普天間基地や,牛肉の輸入制限の撤廃を迫ってくるのかもしれない。
そう思うと、とても手放しでは喜べない、今日この頃である。

0 件のコメント:

コメントを投稿