2007/09/03

衆院、どうやって解散させるのか

先の参議院選挙で民主党が大躍進、もとい自民党が自滅的大敗を喫してから、早くも1ヶ月が経過しているが、ここにきて次の臨時国会で衆議院を解散するというのが大きな政局として取り上げられている。世間でも解散するのは当然とでも言う空気が漂っているし、自民党の中からも選挙の準備を行う、という意見が聞こえてきているが、本当に衆院を解散する、などということがあり得るのだろうか。
そもそも、民主党が多数を占めているのは、解散権を持っていない参議院においてのみであって、どんなに参議院で声高に解散を訴えたとしても、そもそも衆議院を解散させる方法は無いのだ。政府に圧力をかけていき、世論を巻き込んで、国民の審判を問うなどと夢物語を語っているが、それはあくまで民主党側の都合であって、政府・自民党側に解散をしなければならない理由などひとつとして無いのである。
少し考えれば分かることだが、自民党はいま、衆議院で圧倒的な多数を占めている。選挙を行えば、これより減ることはあっても、増える可能性は1%も無い、と言い切ってもいいほどの多数である。ここで選挙をすれば、参議院で勢力を伸ばし、発言力を増している民主党を後押しするだけであって、たとえ過半数を維持したとしても、自民党にとって得るものなどひとつとしてない。なぜなら、選挙で勝ったとしても、参議院の勢力図に変化があるわけでなく、現状となにも変わるところが無いからである。自民党が負けること以外に、衆議院の解散には意味がないのだが、わざわざ負けるために戦うバカはいない。
逆に解散しない場合、自民党は衆議院が、民主党は参議院がそれぞれ主戦場となるわけだが、衆議院が参議院に優先する以上、自民党が民主党に勝っているのは自明であり、これまでよりもやや、議会運営が難しくなるという程度でしかない。しかも、衆議院を通過した法案が参議院でことごとく廃案に追い込まれた場合、世間の風当たりが厳しくなるのは参議院・民主党に対してである可能性が高いと考えられる。
ここで、自民党が参議院・民主党議員に対して、自民党への鞍替えを誘惑することで、議員の身分のままで自民党に移る可能性がある。あるいは民主党を離党しないまでも自民党法案に賛成してくるよう、働きかけを強めてくるのは当然、想定される動きである。これに対し、民主党から自民党への攻勢としては、あくまでも衆議院の解散を声高に叫ぶだけであれば、あまりにも戦略としては弱すぎると言わざるを得ないが、現状ではそれ以外に打つ方策がないのも事実である。(衆議院で勢力が拮抗しているのであればまだしも、拮抗しているのは逆に参議院側の方である)
以上のことから、衆議院が解散する可能性は、普通に考えればゼロである。もしもあるとすれば、世論に押される形で、安倍総理の退陣要求が自民党内で強まり、安倍総理がそれでも辞任を固辞した場合に、衆議院で内閣不信任案が可決される可能性があるが、さらに安倍総理が自暴自棄になって、後先考えずに衆院の解散を宣言したときくらいであろう。う~ん、普通に考えて、あり得ない選択だな。。。

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