2020/04/05

安倍政権では緊急事態宣言は出せない?


2020年4月5日、東京では新型コロナウイルスの感染者が、1日で新たに143名と、急激に増加してきており、小池都知事から、早期の緊急事態宣言を出してもらうよう、政府に申し入れがなされている。しかしながら、いまの政権、いわゆる安倍総理の下では、緊急事態宣言が出されることは無いであろう。なぜなら、これまでの安倍政権が行ってきた政策、実績をみれば如実に分かるが、難しいことは何もできていないのだ。

外交面では、さまざまな国を訪問し、ODAなどを通じた経済支援を行ってきたが、やるということを決めさえすれば、あとは役人が勝手に(というと語弊があるが)処理や手続き、調整を進めて、実績を積むことができる。慰安婦や徴用工問題についても、具体的な進展は一切ないが、優遇の打ち切りや非難声明を出すだけで、なにか成果があったかのように思わせてきた。一方、尖閣諸島の問題については、具体的に中国側となんらかの交渉や妥結する目途はおろか、糸口すら見えておらず、国家間での調整や交渉が必要となるため、玉虫色の声明を出すのが精いっぱいである。

内政面においても、アベノミクスが掲げる3本の矢を見ればわかるとおり、日銀に指示を出せば勝手に策を考えて対応してくれる金融緩和と、政治家も官僚も自分たちの懐が痛むわけではなく、(痛むのは我々国民の懐である)呼びかければ嬉々としながら皆がこぞって持ってくる公共投資は、何の調整や手腕も必要とせず実績として見える(その効果があるかないかはともかく、実施することだけは簡単である)。しかし、各方面と調整し、何をどう変えることで、どういう効果を生み出すのか、といった、規制緩和によるイノベーションの推進については、なにか緩和されたものも見当たらなければ、政策の結果、生まれたイノベーションというものも存在しない。もちろん、民間企業が自律的に生み出したものはあるが、それは安倍政権の成果と呼べないのは当然である。

つまり、安倍総理にはさまざまな調整が必要となるような政策的な成果を出す力はないのだ。意欲を見せている憲法改正だが、これもはっきりいって、改正するだけなら、後先考えずに簡単に実現できる。もちろん、賛同者を増やす、という努力は伴うが、改正とあわせて、自衛隊の在り方を見直すとか、国防方針の目標をどこに置くのか、という事を考えなくても実現できるのだ。要するに、玩具を与えられた子供が夢中になって、捏ね繰り回している状態である。それに対して、緊急事態宣言は、声明を出せば終わりではなく、それに付随して補償の方式や対象の選定方法を、出来る限り不平を生まない方向で調整したり、財源をどこからもってくる、足りない分はどこを削る、などの様々な検討や調整が必要なってくる。こんな難しい話を安倍総理がリーダーシップを発揮して解決できるとは、いくらなんでも買いかぶりというものである。

結論から言えば、左翼政党や支持者が安倍総理に退陣を促していたのは間違いではないが、退陣させなければいけない理由は、彼らが声をあげている、安倍総理が日本を戦争に導くなどといったものではない。戦争できるような体制や法令、仕組みを整えようとすれば、様々な調整や各方面、世界の国々との軋轢、軍としての方向性などを多岐に渡って考えなければいけなくなるが、そんな難しいことを行うような能力は安倍総理にはない。退陣させなければいけないのは、そもそも、そういう能力がないからであって、左翼政党およびその支持者の皆さんが失敗してきたのは、安倍総理に対する危機感が強いばかりに、できもしないことを安倍総理が成し遂げるかのように思い込み、それを退陣の理由にあげてきたことだ。単純に、安倍総理は能力が低く、有事にあたって、機動的な運用も責任感ある判断も、解決に向けたリーダーシップを発揮することもできない、という点をもっと強く責め立てれば、早々に退陣させられること、間違い無しであろう。

と思ていたら、どうやら明日、緊急事態宣言を出すことになったようだ。聞くところによると、医師会からの圧力に屈しで発報することになったそうで、なんとも安倍政権らしい結末と言えそうだ。

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